このページは、歩合給で社会保険料が上がって困るという社長のためにその解決策についてお伝えしています。不動産業などのように、営業で上げた売上に対して歩合給を設定している会社というのはたくさんあります。
歩合給の問題としては、自分の売上だけを目指してしまうのでチームワークが乱れ人間関係が壊れてしまうというものがあります。とはいえ、歩合給を入れることで優秀な営業が頑張って仕事をとってきてくれるというメリットもあります。
このあたりは、社長の好みになると思います。ただ、注意しておかなければならないのは社会保険料です。社会保険料は、4月、5月、6月の給与総額の支払いで決定します。給与総額の中には、歩合給も含むため、社会保険料の負担が膨らむという問題があります。
不動産業は特に注意が必要
不動産業者は、歩合給を入れているケースが多いのですが特に注意が必要になります。なぜ、不動産会社が歩合給を入れていたら注意しなければならないかというと、3月、4月というのが一番忙しい業界だからです。
そこに、歩合給が入ってしまうと4月、5月、6月の給与総額が他の月に比べると極端に上がってしまいますよね。そのため、従業員も1年間の保険料が高止まりしてしまうため、生活が苦しくなるほど圧迫されてしまいます。
もちろん、社会保険料は会社と折半にするものなので会社の社会保険料(法定福利費)負担が跳ね上がります。これは、経営に直結するような問題になりますのでしっかりと対策しなければなりません。
対策というのは、いくつかの方法がありますが簡単にできる方法をいくつか具体的にお伝えしていきます。まずは、給与体系を変えないままとる対策を見ていきます。その後に、給与体系を少しだけいじって解決する方法を解説していきます。
給与体系を変更しないままの対策
社会保険料というのは、4月、5月、6月の給与総額で決まるというお話をこれまでにお伝えしました。これが原則的な計算方法になります。しかし、これには例外的な計算方法もあります。下記の条件をすべて満たした場合に適用されます。
①年間の平均と4月、5月、6月の平均が標準報酬で2等級以上の差があること
②このような2等級の差が業務の性質上毎年発生することが見込まれる
③労働者の同意が得られている
この3つの条件をクリアした場合は、年間平均の金額を社会保険料の金額に適用されることになります。そうすることで、かなり社会保険料の削減にすることが可能になります。ただ、この手法の欠点としては労働者の同意が必要になるという点です。
会社の保険料負担が多いためにという、会社の経営主体だけでは変更できないということです。労働者が63歳とかで年金をもらいだすのが間近だとすると、労働者は同意しないというケースもでてくるでしょう。
そんなことを考えると、次から行う対策の方がよいと思います。社会保険料というのは、給与総額(4月、5月、6月の平均)の30%もかかってきています。そのうち半分は会社負担ですから、経営を非常に苦しめる要素の一つになります。しっかりと自分で対策しましょう。
歩合給を残したままで社会保険料を削減する方法
不動産業界の社長の多くは、歩合給を残したい傾向にあります。なぜかというと、自分もそのため歩合給を稼ぐため一生懸命働いた経験があるからです。なので、歩合給を残す方法でかつ社会保険料を削減する方法を考えるのがベストです。
その方法としては、歩合給を2月に1回にするという方法があります。例えば、毎月の売上に対し支払っていた歩合給を2ヶ月間で見て1回に変更するという方法です。そうするとどうなるでしょうか。
4月、5月、6月の給与の中で5月だけに歩合給がのるとしたらどうでしょうか。すると、これまでは3ヶ月分まるまるの歩合給を足して平均していたのが、4月分と5月分だけ足したものを平均します。
そのため、給与総額が6月の歩合給ぶんだけ下がりますよね。すると、これまでよりも社会保険料が安くなりますよね。ただ、これには注意が必要です。それは、社会保険料を決定する給与は支払い月で見るということです。
例えば、末締め翌月10日払いの会社だとしたら、3月分の給与が4月として社会保険上は計上されるということです。これの何を注意しなければならないのかというと、2月に1回の支払い月が4月支払いと6月支払いになってしまうと4ヶ月分の歩合給が総額に含まれるということです。
2月に1回にするのであれば、支払い月で5月のみに歩合給が載るように設定しましょう。先ほどの末締め翌月10日のケースでいくと、4月分の給与の歩合給をつけることが重要になってくるということです。
歩合給を変形した方法
2ヶ月に1回歩合給を支払うという方法を知ったあなたは、もしかしたら4ヶ月に1回の歩合給にして支払うという方法を考えたかもしれません。4月、5月、6月をはずして歩合給を支払うという形になります。
しかし、この方法で行くとその歩合給は賞与とみられる可能性が高いです。ボーナスにも社会保険料はかかりますので、ボーナス時に支払うという認識をもっていただいたうえでなら問題ありません。
ボーナスとして、社会保険料を支払うのと4月、5月、6月の平均で1年間の社会保険料を支払うのであれば、社会保険料は圧倒的にボーナス時に支払った方が安くなります。1年間高止まりにするのであれば、賞与として支払う方がいいということです。
私がこれまでもったお客さまの中には、いろんなことをご質問をしてこられる方がいて・・・3月に1回にして4月、5月、6月を外したらどうなりますかと質問をいただいたことがあります。
しかし、残念ながら法的には年4回以上支払っている賞与は4月、5月、6月で計算する中に入れるというルールがありますので、結果的に社会保険料は高くなってしまいます。
歩合給と社会保険料のまとめ
歩合給で高止まりしている社会保険料を削減するには、2月に1回の歩合給にするというのが最も簡単にできる方法であることをお伝えしました。法的なルールを守ろうとすると、それが歩合給を残しながら簡単にできる対策なのかなと思います。
もしくは、歩合給をボーナスに変更するという方法もあると思います。単純に社会保険料だけでいうと、ボーナスにして支払った方が安くなるケースが多いと思います。なので、どちらかを選択するという形がベストだと思います。
個人的には、ボーナスで渡すというのが一番いいとは思います。その間にやめる人が減るという効果もあると思いますし、自分さえよければという気持ちも減ると思います。ただ、どうしても歩合給を残して経営したい
そんな、社長のあなたは歩合給を2月に1回の支払いにしていくというのが社会保険料を削減するための簡単でかつ効果的な対策になるのではないでしょうか。
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