このページは、小さな会社で中途採用をした際に人を集めるために賃金を高くなってしまうリスクをどのように解決するのか。失敗例を交えて具体的な解決案を提示しています。なので、中途採用者が思うように働かないので賃金を下げたくて困っている社長はご覧ください。
中途採用というと、小さな会社は即戦力を期待しますよね。しかし、以前の会社でどのような働きをしていたかというのは新しく雇う側のあなたにはわかりません。即戦力と思って入社したけど、いざ雇ってみると予想していたのよりはるかに仕事ができない。
こんなケースは小さな会社の採用ではよくあることです。なので、今回の記事の内容を実践していただくことで、採用で不利にならない賃金を設定できる。給与を下げることができる。この2点を実現することが可能になります。
それを具体的にこれまで私のお客さんの事例を交えてしてはダメなことと、こうするべきだということについてお伝えしていきます。本当に具体的な内容になりますので最後までご覧くださいね。
中途採用の賃金での失敗例と解決策①
中途採用で人を募集する際に、給与などの条件というのが重要になってきます。なので、賃金を高く設定して募集をしている会社が多いと思います。しかし、そこで大きな問題を抱えます。それが一つ目の事例です。
不動産会社で店舗をいくつか持っている10人規模の会社で、店長の募集を行いました。将来(1年後)に店長になってもらうことを約束して実務経験者を募集し店長手当を5万円つけて入社しました。
しかし、会社に入社しても面接時に話したような内容が実現することはできず、ずっと泣かず飛ばずのままです。1年後に店長どころか、その店舗でもっとも成績の悪い状況でした。それでも、店長になることを約束していたため店長手当を支払い続けます。
とはいえ、いつまでたっても成果が上がらないので店長手当を支払うことはできないと伝えます。すると、その従業員は労働基準監督署に駆け込み、その従業員が退職するまでの間ずっと店長手当を支払うことになってしまいました。
このような失敗例は、とても多いですね。このケースで言えば本来は店長になっていないので、店長手当を先に支払っているというのが問題です。また、1年後になることを約束していたことも失敗の原因です。
しかし、そうはいっても採用の観点からちょっと高めに支払わないと優秀な人が来てくれないという問題点はあると思います。なので、給与を高めに設定することは仕方ない部分があります。
では、どのような解決策をとるのかということをお伝えしましょう。一つは、1年後に期待する働きがなければこの店長手当は支払わないということをしっかりと相手に伝えた上で、就業規則と雇用契約書にそのように明記しておくべきです。
具体的には、店長移行手当(名前はなんでもいい)というようなものをつけて、この手当は1年後になくなるとして明確にしておきます。そして、1年後には自動的になくなるようにします。そのうえで、1年後に店長になる働きをしたら、それを店長手当に変更すればいいのです。
そうすれば、1年間の働きが社長の思うところまで到達してなければ、自動的に店長移行手当はなくなります。社長の思う通りに働いてもらえれば、晴れて店長手当をもらうようになるということです。そうすることで、揉める要素がなくなりますよね。
しかも、採用時には給与総額が下がることがありませんので、競合他社並の条件で募集をかけることができます。なので、その会社では私のアドバイスにより新しく店長移行手当を導入し、中途採用の賃金を下げる仕組みをつくりました。
中途採用の賃金での失敗例と解決策②
次の例は、整骨院で新しく中途採用をしたときの賃金の失敗例です。その会社では、募集をかけて周囲から来てもらえるようにやや高めの給料を設定していました。その給料が今いる従業員と同じぐらいでした。
中途採用なので、なかなか募集が集まらないケースでは自社の従業員の給料と同じかそれ以上に設定する会社があります。ただ、すでに働いている従業員からするとたまらないですよね。これまで、経験数を積み重ねているのに、外から来た同じ仕事をする人の方が高い。
資格も役職も変わらないのになぜ?って普通の人であれば思うでしょう。同じぐらいであれば、まだ他のところとの経験年数をと納得させますがこれが逆転していたら著しくモチベーションの低下になります。
今は、インターネットを見れば自分の会社がいくらで募集をかけているのか見られます。であれば、自分の賃金を先に上げて欲しい。普通の人であればそう思うでしょう。また、その新しく入社をした人がよく働く人ならいいのですが、そうでないケースも多いです。
実際に相談を受けたケースは、今回の整骨院以外でも山のようにあります。自分の会社の従業員の賃金と同じぐらい給与を支払っているのだけど、想像以上の働きをしてくれないケースです。では、この問題をどのようになくしていくかです。
解決策としては、失敗例①とほぼ同じです。具体的には、初任給調整手当(名前はなんでもいい)という手当を作ります。これを、雇用契約書と就業規則に書いて1年後にはなくなると明記しておきます。
そして、入社の際にしっかりとそのことを説明しておきます。初任給調整手当はなくなります。ただ、すごく働きがよくて今後もその手当を支払ってもいいというケースは、1年後に基本給や職務手当(名前はなんでもいい)などにして支給してあげます。
そうすることで、優秀な人に対しては支払い続けて報ってあげることができるし、想定より働きが悪かった場合には手当を自動的になくすことが可能になります。こうすることにより、採用の状況に合わせて賃金を上げてしまったバランスをとります。
小さな会社にとっては、採用と言えば中途採用になります。その際に、どのようにリスクを抑えるのかというのはとても重要になります。なので、どんな業種でも使える中途採用の賃金を下げる方法をご利用いただけたらと思います。
中途採用の賃金の下げる方法まとめ
ここまで、中途採用の賃金の失敗例からみていただきましたように、採用でとるために小さな会社はやや募集金額を高く設定している傾向があります。そんな時に、常に抱えているリスクがあります。
それは、原則給与は下げれないということです。その賃金を下げれない問題をどのようにクリアするのかをお伝えしてきました。今回の解決策のミソは、1年後にその手当は自動的になくなるということです。
これをよく似たパターンで「1年後になくなることがある」みたいな文言にしてしまうと、その曖昧さからもめる可能性があります。特に、店長手当のように5万円もの金額になると大きいですからね。
なので、原則なくなる。これが基本です。よければ別の手当に移行していくこともありますよ。そんな制度にしているのです。また、この記事を読んでよく調べている人は思うはずです。それって給与を下げることになるから同意がいるのではないか?
その問題は入社時の雇用契約書でクリアしています。雇用契約書に書いているわけですからそこで同意をとっていることになります。「1年後に○○手当はなくなります。」と一文入れていれば、それに従業員の署名捺印があるわけですから、同意しています。
なので、問題はありません。ただ、就業規則も同様の手当をつくって1年後になくなるということを書いておく必要はあります。それさえ出来ていれば、あとは入社時に交わす雇用契約書に署名捺印でOKです。
それを後から不利益変更だと言うことは不可能です。なので、確実に入社時に雇用契約書をとっておくようにしましょう。入口にとった書面は1年後にもきいてくるわけです。中途採用の賃金はリスクがありますので、是非活用してください。
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