社会保険料の標準報酬月額表で簡単に経費削減する方法

このページは、社会保険料標準報酬月額表を利用して経費削減する方法についてお伝えいたします。社会保険料は、現在給与総額の約30%ほどの負担が必要になっています。それを会社と労働者が折半して支払うという仕組みになっています。

 

例えば、ざっくりとした計算をすると場合、月額の給与総額が30万円の人であれば下記のような計算をして保険料を計算できることが可能になります。

●30万円×30%=9万円

 

<会社と折半する計算>

●9万円/2=4万5千円

 

<1年間の負担にする>

●4.5万円×12=54万円

 

給与総額が30万円の人であれば、1年間で合計108万円もの負担をすることが強いられるのです。会社負担だけでも54万円もの経費負担が必要になります。税金と決定的に異なるのは、利益が出ても出なくても支払いが必要だというところです。

 

そのため現在の会社経営では社会保険料(法定福利費)の負担は非常に重くのしかかっています。しかし、この社会保険料の仕組みは単純に給与総額の30%をかけるという仕組みになっていません。なので、社会保険料の削減を簡単にできる方法が存在します。

 

なので、この記事を最後まで読んでいただいたあなたには、社会保険の仕組みを理解することで標準報酬月額表を使って経費削減が簡単にできるようになることをお約束いたします。では、さっそく見ていきましょう。

 

目次

社会保険料の標準報酬月額表とは?

社会保険料は、実は給与にそのまま30%をかけるという方法がとられていません。下記の社会保険料額表を利用するようになっています。まずはそちらをご覧ください。

 

社会保険料というのは、実はこの中の左から2番目の月額と書かれたところで計算される仕組みになっています。これを専門用語でいうと標準報酬月額といいます。この専門用語は覚える必要は一切ありません。

 

ただし、その右をみてください。報酬月額というのがあると思います。例えば、月額260,000円のところであれば25,000円以上~270,000円未満ということになります。これがどういうことか理解できますでしょうか?

 

それは、250,000円~269,999円までは200,000円とみなして計算するということです。これを理解していると非常に簡単に中途採用などの新しく雇い入れる従業員の給与を設定を考えることができるようになります。

 

例えば、社長のあなたが従業員の給与を総額で27万円にしようとしましょう。経営者というものは、総額いくらでどれだけの働きをしてもらいたいと考えますのでキレイな数字で270,000円としてしまいがちです。

 

計算は簡単です。270,000円はギリギリ標準報酬月額表の280,000のところになります。そのため、社会保険料は280,000円として計算されます。具体的に計算してみましょう。

 

280,000の右横をみてみましょう。介護保険に該当する年齢(40歳以上)であれば、健康保険の全額は32,368円になります。労働者と折半すると16,184円になります。それから、ずっと右側に向かって進んでみてください。

 

厚生年金保険の金額が書かれています。全額で51,240円になります。これを労働者と折半すると25,620円になります。全額でいくと月額の社会保険料は、健康保険+厚生年金=83,608円にものぼるのです。

 

これを半額にしたとしても、41,804円という金額がはじきだされます。月額会社も労働者も4万円以上という金額を年金事務所に支払う必要があるということです。ここまでが、何も考えずに給与を設定した場合になります。

 

給与設定を意識した場合

では、この総額270,000円の給与を少しだけ安くしたとしましょう。例えば、268,000にしましょうか。これがどのような結果をもたらすか一緒に確認しましょう。給与総額を268,000円にしたときの標準報酬月額は260,000円になります。

 

2,000円給与を安くしただけで、給与報酬月額が280,000⇒260,000円にかわりました。これが、社会保険料にどのように影響するのかさっそく計算してみましょう。報酬月額が280,000円の時と同様に右横をみていきましょう。

 

260,000円に対する健康保険料の全額は、30,056円になります。これが会社と本人で折半になりますので15,028円になります。また、その右横をみていくと厚生年金保険料がのっています。厚生年金保険料は、全額で47,580円になっています。これも本人負担と割ると23,790円です。

 

では、社会保険料の合計を計算してみましょう。健康保険料30,058円+厚生年金保険料47,580円=77,638円になります。これを会社と本人負担の折版すると、38,819円になります。では、先ほどの280,000円の標準報酬月額の時と比較してみましょう。

 

●給与270,000 標準報酬月額280,000 ⇒ 41,804円(健康保険料+厚生年金の会社負担)

●給与268,000 標準報酬月額260,000 ⇒ 38,819円(健康保険料+厚生年金の会社負担)

 

<年間差額>

(41,804円-38,819円)× 12月 = 35,820円

 

このように一人当たり年間で3万5千円もの金額が節約できるのです。年間で35,000円とそんなに大きな金額ではないと思いがちです。しかし、これが5人いれば175,000円になります。なので、給与がわずか2,000円の違いでこのような金額になってしまうのです。

 

給与設定をする際には丸い数字を意識するのではなく必ずこの社会保険料の標準報酬月額表を確認してから給与総額を設定するようにしてくださいね。経費削減にもいろいろありますが、社会保険料の削減は価値のある削減になります。

 

経常利益から見る35,000円の価値

先ほどの例で、35,000円ぐらいなら誤差の範囲と社長であれば思うはずです。実際に、社長としてはその感覚は正しいです。しかし、経営という視点でみるとそれは異なりますので注意してください。

 

例えば、あなたの会社の経常利益率が20%だとしましょう。中小企業で経常利益率が20%で純利益率が1%~2%の間というのは、かなり優秀な方の数字になります。では、経常利益率が20%として35,000円の経費削減は売上に直すとどれくらいの価値があるでしょうか。

 

具体的に計算してみて、どれくらい重要な価値があるのかを知っていただけたらと思います。売上に直すための計算式は下記のようになります。

 

● 売上X × 20% = 35,000円

● 売上X  = 175,000円

 

わずか、35,000円という経費削減の数字になりますが経常利益率が20%の優良な会社で35,000円の価値とは売上に直すと175,000円もの価値があるのです。あなたは、簡単にできる売上アップの方法を実施しませんか?

 

従業員の手取りも増える?

さて、ここまで給与設定をわずか2,000円変えただけで、会社に35,000円の経費削減ができるという話をしてきました。しかも、それは売上に直すと175,000円になるんだよとお話をしました。これが、1人でなければもっと大きな数字になりますよね。

 

なので、必ず給与設定をする際には意識してもらいたいのです。しかし、優しい経営者のあなたはこんな疑問を抱きませんか?従業員のためには、高く給与をしてあげていた方がいいのではないかと。しかし、そんな疑問を解決します。

 

先ほどの、月額給与が270,000円の時と、268,000円の時の従業員の手取り給与についてみていきましょう。わかりにくくなりますので、税は無視して計算します。

 

●給与270,000円 標準報酬月額280,000円

給与総額 270,000円
健康保険 16,184円
厚生年金 25,620円
手取り 228,196円

 

●給与268,000円 標準報酬月額260,000円

給与総額 268,000円
健康保険 15,028円
厚生年金 23,790円
手取り 229,182円

 

この計算を見ていかがでしょうか?なんと、給与総額が低い268,000円の方が手取りが多くなっているのです。この数字を実際に見せてあげれば、従業員も給与を下げたとしても嫌がることはまずありません。

 

もちろん、年金受給前の人にこの数字を見せると社会保険料の負担が多少多くてもいいとなりますが、年金が遠い未来の世代にとっては手取りが少しでも多い方がいいのが普通の感覚です。若い世代に年金がもらえるかどうかは誰にもわかりませんので。

 

標準報酬月額表で簡単に経費削減する方法まとめ

ここまで、社会保険料の削減を簡単にできる方法をお伝えしてきました。現在の社会保険料は、本当に高額になって経営を圧迫しています。そのためには、簡単にできる対策は必ず行うべきものです。

 

経常利益率が20%の会社が35,000円の経費を削減できただけで、売上に直すと175,000円上げたことと同じになります。なので、大きな金額にならないと思わずに給与設定をする前には必ず見るようにしてくださいね。

 

この方法は、社会保険料を支払うすべての層に応用できるものですが、基本的には新しく採用するときに最も効果を発揮します。なぜなら、7月以降の採用であれば翌年の9月までは保険料が基本的には変更がないからです。

 

現在すでに雇い入れている従業員については、4月、5月、6月の給与の合計を平均したものがこの標準報酬月額表にあてはめられます。なので、一概には給与設定できないという問題があります。なので、最も有効な対象者は新しく入社する労働者ということになるでしょう。

 

その辺りをしっかりと理解した上で、必ず新しく入社した労働者については標準報酬月額表の幅を意識して給与設定をするようにしましょう。今回は、東京の標準報酬月額表を利用して計算しています。

 

しかし、地方になればもっと健康保険料が高くなっていますので社会保険料の負担はますます厳しいことが予想されます。なので、簡単にできることからでも始めていくようにしましょう。

 

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