ランチェスター戦略の実例/小さな会社にも使えるの?

このページは、ランチェスター戦略について実例をあげて小さな会社にも使えるのかを検証していきたいと思います。ランチェスター戦略の実例をあげる前に、ランチェスター戦略がどういったものかというのも軽くご説明していきます。

 

そのうえで実例を上げていきますので、すでにランチェスター戦略についての概要を知っているというあなたは、目次で飛ばして実例の弱者の戦略と強者の戦略のところから見てください。

 

目次

ランチェスター戦略とは?

ランチェスター戦略とは、戦争の原理であるランチェスターの法則から故田岡信夫さんが提唱した日本発の競争戦略になります。原点が戦争の原理であることから、戦闘をベースに語られることが多いです。

 

ランチェスター第一の法則

第一の法則は、局地戦や接近戦、一騎打ち奇襲戦を行うときの法則で弱者のための戦略になります。広く戦うと負けてしまうので極地で戦う。兵力が負けているときに利用する法則になります。なので、計算式でいうと以下のようになります。

●戦闘力=武器効率×兵の数

 

第一の法則については、小さな会社が戦うべきヒントがあるというものです。なぜなら、局地戦や一騎打ちに持ち込めば兵の数ではなく武器の勝負になるからです。よくランチェスター戦略で言われるエリア戦略なんていうのもこの第一の法則を利用したものです。

 

なので、小さな会社がランチェスター戦略を利用して経営戦略を考えるのであればこのランチェスター第一の法則をよく勉強しておく必要があるでしょう。

 

ランチェスター第二の法則

ランチェスター第二の法則は、広域戦になります。たくさんの兵で一斉に戦うので、現在の戦争と同じであることが言えます。この法則の計算式は下記のようになります。

●戦闘力=武器効率×兵の数の2乗

 

この計算式からもわかるように、武器効率が同じであれば兵の数がものをいうという法則になります。なので、シェアをナンバーワン獲得している会社は利用できますが、小さな会社には使うことは難しいというのが現実的な話となるでしょう。

 

弱者が強者に勝つ戦略

二つの理論からわかることは、弱者が勝者に勝つためには局所戦や一騎打ちに持ち込む必要があります。広い地域で戦うのではなく、自分でエリアやポジションを決めて周囲と差別化していくというのが結論になります。

 

ランチェスター戦略では、シェアが圧倒的1位以外は弱者の戦略をとることを推奨しています。つまり、局地戦や一騎打ち、奇襲戦で戦っていくといことになるでしょう。ランチェスター戦略でよく言われる「一点突破」というものになります。

 

一つのことに集中して突き抜けるのであれば、大手のように広くやっているところにその集中しているところだけは勝てるという理論から成り立っています。一点突破であれば、人員を大手のようにさく必要がありません。

 

なので、小さな会社でも大手にもそこの部分だけは勝てるというものをつくっていくのです。それは、エリアでもいいですし、営業の方法でもいいでしょう。あるいは、競合がまったくいないような商品やサービスでもいいでしょう。

 

弱者がとるべき戦略というのは、そうやって断トツでナンバーワンを少しずつ増やしていくということになります。ちなみに、武器効率についてはインターネットの発達により小さな会社でも大手に負けないような効率を発揮できるようになりました。

 

なので、問題となるのは兵の数になるでしょう。そこで、兵が少なくても戦えるようにたてる戦略が一点突破、弱者の戦略になるのです。このあたりがランチェスター戦略の最も本質的な部分になると思います。では、次から実例を挙げてランチェスター戦略をみていきましょう。

 

ランチェスター戦略の実例

ここからは、ランチェスター戦略の実例を具体的にみていきます。わかりやすくするために、ランチェスター戦略の第一の法則(弱者の戦略)と第二の法則(強者の戦略)について分けて事例をみていくことにします。まずはランチェスター戦略の弱者の戦略の実例からみていきます。

 

弱者の戦略1.セブンイレブン

セブンイレブンといえば、コンビニの最大手企業になります。そのため、弱者の戦略というと違和感があるかもしれませんが、セブンイレブンは東京近郊にはたくさんありましたが1996年当時は関西方面では出店していませんでした。

 

当時の関西のコンビニでナンバーワンのシェアを誇っていたのがローソンです。そこでセブンイレブンがとった戦略は、ランチェスター戦略の第一の法則の弱者の戦略でした。まずは大阪の特定の地域のみに連続でセブンイレブンを出店していったのです。

 

すると、300店舗ほど出店したあたりから急速に認知度が増えていき一気にセブンイレブンがシェアを高めていったのです。いくら、セブンイレブンというコンビニ業界のナンバーワンとはいえ出店をまったくしていないエリアでは弱者の選択をとっていることがわかるでしょう。

 

ちなみにこのセブンイレブンの実例は、ランチェスター戦略の一点突破の代表例としても有名なエピソードになっています。ランチェスター戦略といえばというぐらい有名な事例になっています。

 

弱者の戦略2.サントリー

近年のビール業界では、いろんなジャンルがありますよね。発泡酒という安い価格のものからアサヒの辛口「スーパードライ」、そして、「ザプレミアムモルツ」などのプチ贅沢路線、大きくわけてこの3つのジャンルにわかれています。

 

サントリーが発売して人気になったのがこのプチ贅沢の「ザプレミアムモルツ」になります。当時は、発泡酒が全盛の時代で、ビールの高品質をうたったものはありませんでした。そこに、新たなジャンルとしてサントリーが投入したのが「ザプレミアムモルツ」だったのです。

 

弱者の選択として、発泡酒や通常のビールの市場で戦うのではなく、プレミアムビールというニッチな市場の商品を打ち出しました。その市場に特化して、その分野で「ザプレミアムモルツ」はナンバーワンの地位を獲得します。

 

また、高級ビールという路線から銀座の飲食店の市場から開拓していきます。モンドセレクション金賞受賞という品質の差別化。父の日の贈答など、特別なビールとして位置づけされました。

 

当然、高級路線ですので利益も多くなり広告費もかけることが可能です。その結果として、「ザプレミアムモルツ」は過去6年間の売上20倍もの数字をたたきだしてくれたのです。

 

弱者の戦略3.ソフトバンク

ソフトバンクはパソコンの商品が売れることの相乗効果を狙って、ソフトバンククリエイティブという出版社を立ち上げていました。当時のパソコン系の雑誌は、いろんなパソコンのメーカーのものを扱っていました。

 

ソフトバンククリエイティブも同様のことをしていると売れないと判断したソフトバンクでは、特化したメーカーのパソコン雑誌をつくりました。パソコン雑誌「Oh!PC」はNECのPC8000シリーズを専門に取り扱い大ヒットします。

 

また、「Oh!PC」と同様に専門特化した「Oh!MZ」は、シャープのMZ-80Bシリーズの雑誌でした。この2つの雑誌のヒットでソフトバンククリエイティブ社は初年度の売上8億円、翌年の売上35億円と右肩上がりの経営の礎をつくったのです。

 

ソフトバンクについては、これ以外にも弱者の戦略をとって大きく経営を発展させています。次は、ソフトバンクの弱者の戦略第2弾をみていきたいと思います。こちらの方が印象に残っている人が多いと思います。

 

弱者の戦略4.ソフトバンク

ソフトバンクの事例については、実はたくさんあります。ランチェスター戦略をかなり利用しているといえるでしょう。今回は、その中でボーダフォンを買収した時の実例を見ていこうと思います。

 

孫正義さんは、ボーダフォンを買収するのに2兆円ほどのお金を使いました。これが、2006年のときの話ですね。今から10年ちょっと前なので覚えている人も多いと思います。現在もそうですが、携帯電話は当時NTTドコモが最もシェアをもっていました。

 

続いてauがシェアをリードしていました。それに次いで出てきたのがボーダフォンでした。ソフトバンクがボーダフォンを買収してから行ったのが、一定の時間帯の電話代を0円にしたことです。また、メールを無料にもしました。

 

学生向けのプランも用意し、ボーダフォンは一気にシェアを拡大していきました。社名もやがては、ソフトバンクに変更していきついに日本初の商品の「iPhone」をソフトバンクで販売をはじめます。現在では、ドコモなどもiPhoneを販売していますが、当時は画期的でした。

 

ソフトバンクは、元々ボーダフォンを買収する前からヤフーBBを低価格で販売したことで、低価格路線を歩んでいました。しかし、iPhoneを販売したことで、新しいものを取り入れる会社として一気に認知されるようになりブランドの変更にも成功しました。

 

低価格路線をモデルとすることにできたのは、ヤフーBBもボーダフォンも継続課金の商売だからであり、そこをなくして小さな会社が低価格路線を描いてしまうと、経営的に厳しい状況になったしまう可能性が高いのでご注意くださいね。

 

弱者の戦略5.でんかのヤマグチ

東京都町田市にある「でんかのヤマグチ」という会社をあなたはご存知でしょうか?東京都町田市といえば、家電量販店が立ち並ぶ地域としても有名ですね。しかし、この競合が立ち並ぶなかで「でんかのヤマグチ」という従業員40名ほどの小さな会社が孤軍奮闘しています。

 

でんかのヤマグチの売りは高いことです。周辺の家電量販店が低価格路線を歩んでいるのに対し、この「でんかのヤマグチ」は逆の高値を売りにしています。そのことで、競合がいない状況を作り出しています。

 

ただ、高いってだけであればだれも買わないと思いますが「でんかのヤマグチ」が実践しているのは、個別にお客様対応しているところです。ランチェスター戦略でいうところの一騎打ちになります。

 

上位顧客に対して通常の家電量販店ではできないサービスを行っているのです。ペットの散歩や庭木の水やり留守番やお買い物などを無料で提供しているのです。通常の電気屋さんではないので、高くても価値があるということを顧客は理解します。

 

高齢者が多い地域なので、そういったサービスの付加が「でんかのヤマグチ」で買いたいというリピート客をどんどん増やしているのです。競合他社との差別化というのが、弱者の戦略では重要ですが「でんかのヤマグチ」は圧倒的なサービスで差別化しているといえるでしょう。

 

強者の戦略1.AKB48

あなたは、AKB48というグループをご存知でしょうか?最近は、主力メンバーも様変わりして人気が落ちているといわれていますがプロデューサーの秋元康さんがとった戦略もこのランチェスター戦略の枠にあてはめることができるでしょう。

 

AKB48といえば、こてこてのアイドルです。AKB48が人気がでるようになるまでは、安室奈美恵や浜崎あゆみ、倖田來未などのような歌がうまい女性が長らく人気をはくしていました。いずれも特徴は、1人で歌がうまいということです。

 

しかし、秋元康さんがプロデュースしたAKB48は人数を重視します。歌が上手かは関係ありません。顔もすごく美人というわけではなく、とにかく人数の数を集めました。これが、ランチェスター戦略の第2の法則の公式の兵の数の2乗になるということです。

 

要は、兵の数を増やして戦うポジションを作ったということです。しかも、秋元康さんが行ったのは乃木坂や他のライバルグループも作っていったのです。そして、AKBは48人にとどまらず大人数になることで総選挙なるものまで生み出したのです。

 

これは、秋元康さんがアイドルの数を集めることができるからこその強者の戦略になるのです。一人の歌がうまい女性ではなく、多くの歌が歌えないアイドル。この対立軸を打ち出すことで、大きなムーブメントを起こしたのです。

 

強者の戦略2.トヨタ

これもランチェスター戦略の中で有名な強者の戦略です。世界のトヨタが新型プリウスの発売の際に行った戦略が強者の戦略です。2009年にホンダがインサイトを発売しました。

 

インサイトは低燃費に低価格を打ち出して販売されたホンダが社運をかけて発売を開始した車でした。インサイトは発売開始から記録的に販売台数が伸びていきました。

 

しかし、トヨタはそこに同様のコンセプトである新型プリウスを3ヶ月後に発売したのです。しかも、トヨタは徹底的にインサイトをつぶしにかかりました。それまで、トヨタは販売店をわけて車を発売していました。

 

トヨタで売る車、トヨタカローラで売る車、トヨペットで売る車、ネッツトヨタで売る車を競合しないように別々にしていました。しかし、この新型プリウスは競合を覚悟で全社で販売したのです。

 

その半年後には、旧型プリウスも再販売を開始して価格をインサイトと同額にします。なので、徹底的にインサイトをつぶしにいったのです。競合と同様のコンセプトのものを広く販売する戦略。これこそが強者がとる戦略として代表的な実例になっています。

 

強者の戦略3.Apple

強者の戦略の3つ目は、世界のトップ5に名をいつも連ねるアップルです。アップル社は、スマホやパソコンなどの電子機器類が多く販売されています。パソコンだとマック。スマホだとiPhone。iPodにiPadなどのヒット商品のそのほとんどが電子機器類です。

 

アップルが行っているのは強者の戦略です。Windows95が爆発的に売れてからMacが発売されます。スマートフォンも日本で販売開始してから少したって、iPhoneを発売しています。

 

iPodも同じですね。ソニーがフラッシュメモリーを使ったウォークマンを販売した後に、iPodの発売をしています。先に競合が出しているものを見て、それをさらにデザインなどをスタイリッシュにして販売をしていくのです。

 

競合他社がある程度売れているのであれば、資本力を使ってその会社以上に売れるものを出す。これがアップルの強者の戦略になるのです。小さな会社は強者の戦略をとることはないでしょうが、同じことを同業他社が仕掛けてくることを意識しておく必要があります。

 

ランチェスター戦略の実例まとめ

ランチェスター戦略の弱者の戦略とは、一言でいうと差別化戦略になります。どのように競合他社と差別化して狙っているセグメントで1位を獲得するのか。それにつきると思います。これについては、小さな会社でもできるといえるでしょう。

 

私のお客さんで以前、こんな会社がありました。その会社は放課後デイサービスを立ち上げたのですが、差別化は他の放課後デイサービスは、送迎をしていませんでした。障害児の放課後の面倒を見るサービスなので、送迎までしてくれると両親は助かります。

 

なので、他がやっていなかった送迎を目玉に利用者を獲得していきました。しかし、この戦略というのは1年もたたないうちに他の放課後デイサービスにまねされるようになりました。要は、差別化をしっかり打ち出すのはいいですがそれが簡単にまねされるものかどうか。

 

まねされた後にどんな差別化をうちだすのか。そういったことも検討をしておかなければなりません。差別化を次々に出せる会社かどうかというのが長く発展していける会社になります。

 

結論を言うと、ランチェスター戦略は小さな会社でも使える戦略になります。ただ、すべての会社で利用できるものでもありません。1位をとるまでセグメントを区切っていくという方法論はうまくいかないケースも多いでしょう。

 

私自身は、ランチェスター戦略実例を見て納得できるものも多いです。ランチェスター戦略の本質は、どのように差別化をするかになります。その点からみるとランチェスター戦略が小さな会社に使えることがわかります。

 

ただ、その戦略が特別に優れている戦略であるかというとそうでもないと思っています。小さな会社には、ダイレクトレスポンスマーケティングのように、計測できるものの方がよいと個人的には思います。

 

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