決算期はいつがいいの?プロが見る3つの視点

このページは、会社の決算期いつがいいのか。どんな要素を考えて決めていくのかについて、3つの視点で詳しく解説していきます。一応、私は行政書士なので専門家の視点として決算期の決め方についてお伝えしていきます。

 

そもそも、決算期というのは会社が自由にきめれるものです。個人事業主だと決算期は、1月~12月と決まっているのですが、会社の場合はこれを自由に決められます。なので、自社にあったように決めることでキャッシュが残ったり減ったりします。

 

目次

決算期は1年と決まっているわけではない

そもそも、決算期というのは1年間と決まっているわけではありません。1年以内のいつでもいいのです。1日単位で決められるようになっているので、○月○日という決め方でも1年以内であれば法的に問題ありません。

 

ただ、その期間が短くなると事務手続きが煩雑になるので、多くの会社では1年間で設定しているのです。しかし、決算期を1年間にするということに問題がまったくないわけではありません。

 

例えば、役員報酬は決算から3ヶ月以内に変更して次の決算までは変更できません。増やしたり減らしたりしようと思うと、役員報酬が損金(経費)にならず税務署から否認されてしまう可能性があります。

 

節税という意味で考えると、役員報酬の設定は金額が大きいだけにすごく大切な要素になります。そのため、半年に1回にして機敏に設定できるようにするというのも一つの手法になります。ただ、この手法は税理士さんに嫌がれる可能性が高いです。

 

私のような行政書士の視点からすると、税理士さんの決算報酬が増えるので半年に1回にすることで喜ぶのではないかと思いますが、実際にはそうではありません。

 

税理士事務所が慣れないことをしたくないという視点と、変わったことをやっていることから税務調査の対象になりやすいという懸念があるようです。また、年に2回となると事務処理が煩雑になりすぎるという視点もあります。

 

そのような点から、現在は決算期を最長の1年間に設定している会社がほとんどになるのです。ただ、法的には1年以内は決算期が認められていますので一つのオプションとしてもっておくようにしましょう。

 

決算月を節税という観点できめる

決算期については、1年間にしている会社が多いことをこれまでお伝えしてきました。では、いつを決算月にすればいいのかという問題があります。ここから、いくつかの決算期の決め方がありますので、3つの視点を順番にみていきます。

 

まずは、1つ目となる節税の観点からお伝えします。決算月を1年の中で最も売上の多い月にしてしまうと、節税の対策ができません。ある程度は、昨年の見込みで立てることはできますが昨年よりも今年が大きく売り上げが上がってしまうと、高額な税金が待っています。

 

なので、決算期は節税の観点から考えると売上が多い月というのは避けるべきです。1年間売上がなだらかなのであれば、特にどこに決算月をおいても同じなのですが、売上の幅がかなりある会社についてはその辺りをしっかりと分析していきます。

 

そして、節税の観点から考えると売上が多い月の前月に決算月をもってくるのがいいです。例えば、あなたの会社が鰻を販売していて7月、8月が一番の繁忙期だったとしましょう。その場合は、6月を決算月にします。

 

決算期は7月からスタートしますよね。大きく売上げが上がる月が7月、8月ですから、来年の6月まで1年間の間しっかりと節税の対策ができます。税理士に相談する期間もたくさん残されています。

 

生命保険に入るとか、必要な車を買うとかって節税の方法は税理士がアドバイスをくれるでしょう。しかし、この鰻屋さんが8月に決算月だったらどうでしょうか?節税対策を税理士に相談する時間もないし、なによりも忙しい。

 

その結果として、税金を大量に支払うということになるでしょう。もちろん、これは節税という一つの側面になります。ほかにも決算期をどうするべきかの視点はありますので、続いてみていただけたらと思います。

 

決算月(税務申告月)は税理士が忙しくないように

節税の観点から見ていくと、決算月は売上が多い月の前にするのがいいということがわかったと思います。では次に2つ目の視点として、決算書を作成する税理士の視点から決算期をいつにするべきかをみていきましょう。

 

決算月を税理士が忙しい月にしてしまうと、よく見てくれなくなります。そのため、提案やアドバイスがされることがなくなり税理士が事務屋さんと化してしまいます。税理士を上手に利用するためには、税理士が忙しくない月に決算を設定しましょう。

 

そこで、知らなければならないのは税理士が忙しい月になります。私も会計事務所に勤務経験がありますが、税理士の忙しい月は5月、11月、12月、3月になります。5月が忙しい理由は、3月決算の会社が多いからです。

 

税務申告は、決算から2ヶ月以内にしなければならないので5月が忙しくなるのです。11月が忙しいのは、9月決算が多いからです。5月よりは、11月の方が忙しくないですが、11月も繁忙期であることは間違いありません。

 

12月については、年末調整があるので忙しい事務所が多いです。3月は、個人の確定申告がありますので税理士が1年間で一番忙しい時期になります。このことから考えると、決算月を決めるのは必然的に決まってきます。

 

1月決算=×(3月の申告になるため忙しい)

2月決算=○

3月決算⇒×(3月決算5月申告は最も多いため忙しい)

4月決算=○

5月決算=○

6月決算=○

7月決算=○

8月決算=○

9月決算=×(9月決算11月申告の会社も多いため)

10月決算=×(12月申告になるため忙しくなる)

11月決算=○

12月決算=○

 

このように見ていくとわかりやすいですが、2月、4月~8月、11月~12月の月に決算月を設定すると、税理士はアドバイスをくれたり提案をしてくれたりしてくれるでしょう。

 

最近では、3月決算があまりに集中しているため、税理士の忙しくない月に決算月をもってきてくれると料金が安くなるといったサービスを展開しているところも多いです。なので、税理士の忙しくない月というのも視野に入れておきましょう。

 

決算期と法定福利費

私は長く社会保険労務士としてコンサル活動をしていましたので、3つ目の視点として法定福利費も大事だということをお伝えしておきます。決算月に法定福利費という視点は、99%の確率で専門家ももっていません。なので、あえてお伝えしておきたいと思います。

 

決算期が終わると経営者が考えることになるのが、来年の予算についてです。ここで、固定費として重くのしかかってくるので絶対に考えていなければならないのが人件費です。人件費の中には法定福利費を含めましょう。

 

なぜなら、人件費が発生すると正社員であれば自動的に社会保険料がかかるからです。これは、雇用保険や労災までいれると給料の30%を超えてきます。それを16%ほどは会社が負担するからです。

 

この法定福利費を考えると、決算期はいつがいいのかというものがあります。どういうことかというと、社会保険料というのは4月、5月、6月の給料の総額の平均で1年間の保険料が決まります。

 

ここをしっかりと把握しておかなければなりません。例えば、最も多い3月決算にしたとしましょう。そうすると、給与の改定・具体的には4月に昇給をする会社がほとんどになります。

 

するとどうなるのでしょうか?先ほど、社会保険料は4月、5月、6月の給与総額の平均で決まるとお伝えしましたね。社会保険料が高くなってしまうのです。今の社会保険料は高いので、5000円の昇給したけど、手取りはマイナスになる。

 

こんな事例は、山のようにあります。なので、ごくごく簡単な対策なのですが昇給を4月、5月、6月にもってこないというのはとても重要になります。私は、昇給については、いつもそのようなアドバイスをしています。

 

しかし、これが決算期が3月になってしまうと1年間の人件費予算について経営者が決めてしまうので昇給もそこに合わせてしまいます。なので、決算期ごと変更してしまいましょうとなるわけです。

 

4月、5月、6月の昇給をさけるためにも、決算月は3月、4月、5月にしないことをお勧めいたします。法定福利費は、ざっくり計算すると月30万円の従業員がいれば90,000円の保険料が必要になります。それを折版する仕組みです。

 

45,000が会社負担になり、これが12月つづくシステムになっています。たった1人だけで年間の法定福利費は、54万円になるのです。10人いれば540万円です。安くするために最低限できることは行いましょう。

 

決算期は繁忙期は避ける

これまで、プロが見た決算期の3つの視点をお伝えしてきました。私は、3つの視点でインターネット上にのっているような決算月は繁忙期は避けるという視点をお伝えしていません。

 

これについてはインターネット上にやまのように情報があります。繁忙期に決算を迎えると、そっちに手をとられてという話です。しかし、これについては誤解も多いです。一般的に、会社は現場と事務って別れているところが多いです。

 

現場と事務が別れているようなビジネスについては、会社の繁忙期がというのは大きく気にする必要はありません。決算というのは事務方が忙しくなるものです。現場や社長が協力しなければならないことも多少はありますが、基本的にはここの部分を大きく考える必要はないでしょう。

 

この部分を考えることよりは、私がこれまでにお伝えしてきた3つの視点。節税という観点から見てみることや法定福利費の観点から見ること。税理士の繁忙期という視点から見ていくことの方が重要になってくると思うからです。

 

決算期をいつにするべきかのまとめ

私は、行政書士として法人成をやっていたり、会社設立をやっている観点から決算期がいつがいいですかという質問をされることがよくあります。そこで、お伝えするのが今回の記事のようなお話です。

 

税理士に質問しても、自分の忙しい月をさけて欲しいというアドバイスをされることが多いです。(言い方はもちろん異なりますが)それもすごく重要なのですが、主体はあくまでも経営者になります。そうであるのなら、節税という視点。法定福利費という視点が重要になります。

 

もちろん、あなた自身が節税をしないと決めているのであればそれはそれでいいと思います。それも、選択肢としてありますので。ただ、法定福利費については考えておいた方がいいと思います。

 

私が見てきた会社では、決算をなんとなく3月にしている会社が多いです。3月決算については、税理士も嫌がりますし法定福利費の観点からもよくありません。100害あって一利なしといってもいいほどです。

 

経営という観点から見ても決算期いつがいいのか。これは、重要な選択になります。現在3月決算にしている会社は変更を真剣に検討してみるべきだと思います。

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